国家公務員に支払われる「地域手当」は、赴任地によって支給額に差があり、年収で最大20%の差がつくために働く意欲への影響も少なくない。現役裁判官が「憲法に反する」として国家賠償の訴訟を起こしたことでも注目されている。全国転勤がある裁判官は手当をどうみるのか。「弁護士ドットコム」のアンケートをきっかけに取材に応じた元裁判官からは「ヒラメ裁判官を生む要因になっている」と指摘する声も出た。
- 国家公務員の月給、33年ぶりの上げ幅 人事院勧告
国家公務員の地域手当は、基本給(俸給)に扶養手当などを加えて、地域ごとに決められた支給割合をかけて出す。
人事院が8日に出した勧告では、支給割合は地域によって5段階となり、これまでの7段階からより簡略化することが示された。ただ、最も高い東京23区内(20%)の割合はそのままのため、手当が付かないゼロ地域との差は変わらない。
手当をめぐっては7月、津地裁の現役裁判官が国を相手に提訴した。転勤で手当が減り報酬が減額されたといい、「在任中は報酬が減額されないと定めた憲法に違反する」などと主張している。
この訴えをきっかけに弁護士ドットコムは、裁判官の地域手当に関するアンケートをインターネットで実施し、その結果を今月8日に公表した。元裁判官7人を含む会員の弁護士計281人が回答した。
同僚や家族からの評価にも影響する?
裁判官に地域手当を適用することについては、「妥当」「やや妥当」が計約53%と、「不当」「やや不当」の同24%を上回った。一方、最大20%となる支給割合は「不当」「やや不当」が同43%と多く、「妥当」「やや妥当」は同27%だった。
手当自体は認めながら、その差を疑問視する人が多い結果となった。
回答した弁護士で、裁判官経験がある人の転勤と地域手当に対する考えは様々だ。
岡山市で弁護士をする金馬健…